CORITA!
コリータの生きた時代
1918年生まれのフランセス・エリザベス・ケントは、18歳のときにロサンゼルスの「Immaculate Heart of Mary」に入信し、シスター・コリータと名乗るようになった。コリータは「小さなハート」という意味である。「Immaculate Heart College」(以下IHC)を卒業した後、カナダの小学校で教鞭をとっていたが、47年にIHCに呼び戻されて美術教師となる。コリータはその3年後に最初のセリグラフ作品をつくった。以降、教室で生徒たちを教えながら、空き時間を利用して自らの作品を制作・発表していった。
彼女の教育法はユニークだった。生徒たちにたくさんの課題を与え、生徒たちと街に出て、ときには生徒たちと一緒に作品をつくった。ニューヨーク万博ヴァチカン館のためのバナーや、IBMのクリスマス・ディスプレイなど、作家として有名になった彼女への依頼を、授業の課題として取りこみ共同制作したのである。チャールズ&レイ・イームズやバックミンスター・フラーなど、多くのクリエイターたちが、彼女の授業に協力を惜しまなかった。64年から68年にかけてはIHCの美術学部長として、さらに注目を集めていく。ヴェトナム戦争の激化やマーティン・ルーサー・キングの暗殺など、不安な社会情勢の中、強いメッセージを持ったコリータの作品は、彼女自身が修道女であるという事実と相まって、マスコミの注目の的となった。
68年、コリータはIHCを辞しボストンに移住して、86年に62歳で永眠するまで、より大きな人間性をテーマにした作品を発表し続けた。
